げんきっこコラム「ヒトメタニューモウイルスについて」

こんにちは、げんきっこ看護師児玉です。

今日は「ヒトメタニューモウイルス」についてお話したいと思います。

 

年明けに、中国で感染拡大していると話題になっていたので、ニュースを見た方もいるのではないでしょうか?

長くてなかなか聞きなれない名前ですよね。

 

ヒトメタニューモウイルスとは

ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、RSウイルスと似た呼吸器感染症を起こすウイルスとして2001年に発見されました。

これまで「風邪」と言われていたものの中の1つのウイルスです。

風邪と言っても200種類以上のウイルスがあるといわれているので、そのうちの1つに名前が付いたという印象でしょうか。

 

名前こそ珍しいものの、5歳までには約70%が感染していて、大人の方であれば知らず知らずのうちに何度も感染しているはずです。

繰り返して感染することで免疫が付いていくので、大人の感染であれば症状が軽く済むこともあります。

 

潜伏期は4~6日と言われていて、

飛沫感染・接触感染するウイルスになるので、手洗いやマスクの着用が有効です。

アルコール消毒も有効です。

 

症状について

ヒトメタニューモウイルスは、咳や鼻水などの症状はRSウイルスによく似ています。

 

特徴的なのは、重症化したときの「呼吸器症状+高熱」の症状です。

高熱が5日ほど続くことがあります。

熱がなかなか下がらず、インフルエンザでもないコロナでもない…なんだろう?と思っていたら「ヒトメタだった」という話は時々聞きます。

重症化すると、気管支炎や肺炎、中耳炎などを引き起こすことがあるため、1週間以上症状が続いている場合は一度かかりつけの病院を受診しましょう。

 

検査や治療方法について

6歳未満では保険診療で検査が可能です。(6歳以降の検査は自費検査になってしまうようです。)

10分ほどで結果の出る迅速検査があります。

インフルエンザのように特効薬やワクチンがあるわけではないので、基本的には対症療法になります。

 

治療は安静、保温、栄養・水分補給を中心にします。

子どもは脱水になりやすいので、こまめに水分補給を行っていきましょう。

 

症状が強い場合は解熱剤などを使用します。

解熱剤を使用するのは、38.5℃以上の発熱があり、不機嫌で、水分が摂れない、薬が内服できない、眠れななどの場合です。

解熱剤は感染症を根本的に治すことはできません。

一時的に熱を下げ、その間に水分を摂ることで脱水を予防し、治すための薬を内服し、睡眠をとり体力を温存するために使用します。

 

熱が高いと、「解熱剤を使わないといけない」「早く熱を下げてあげなくてはいけない」と考えがちですが、

発熱があっても、機嫌が良く、水分が摂れ、内服でき、眠れていれば使用する必要はありません。

 

 

保育園の登園はいつから?

ヒトメタニューモウイルスはインフルエンザやコロナのように「何日間休まないといけない」という出席停止期間は決められていません。

発熱や、咳・鼻水の症状が治まり、全身の状態が良くなれば登園できるようになります。

 

ヒトメタニューモウイルスに限らない全身の状態についてですが、

「保育所における感染症対策ガイドライン」によると、登園を控えた方がよいのは、

・24時間以内に38℃以上の熱が出た場合や、又は解熱剤を使用している場合。

・朝から37.5℃を超えた熱があることに加えて、元気がなく機嫌が悪い、食欲がなく朝食・水分が摂れていないなど全身状態が不良である場合。

・夜間しばしば咳せきのために起きる、ゼイゼイ音、ヒューヒュー音や呼吸困難がある、呼吸が速い、少し動いただけで咳せきが出るなどの症状がみられる場合。

などになります。

 

高熱が続くと体力も消耗しますし、病み上がりに機嫌が悪くてどこか本調子ではない…ということもあると思います。

熱が下がってすぐ後に、無理に登園すると、症状が長引くこともあります。

焦らず、無理せず、しっかり回復してから登園できるとよいですね。

 

あと1~2日ゆっくり過ごした方がよさそう、という時は、

げんきっこの病児・病後児保育もぜひご利用くださいね。

 

参考文献:

病気がみえる 小児科

病児・病後児保育における保育士・看護師等のためのハンドブック:byoujibyougojihandbook2.pdf

保育所における感染症対策ガイドライン