げんきっこコラム「乳幼児突然死症候群について」

こんにちは、げんきっこ看護師児玉です。

 

11月は「乳幼児突然死症候群(SIDS)対策強化月間」になっています。

こども家庭庁からも、睡眠中の赤ちゃんの死亡を減らすために、注意喚起がされています。

 

「乳幼児突然死症候群」はSudden Infant Death Syndromeの頭文字を取って「SIDS(シッズ)」と呼ばれることもあります。

なんとなく聞いたことはあるという方もいるかもしれませんね。

SIDSがどんなものなのか、また何に気をつけたらいいのか説明したいと思います。

 

●SIDSって何?

SIDSはそれまで元気で何の異常もなく育っていた子どもが、ある日、睡眠中に呼吸が止まって突然死亡する病気で、新生児を除く乳児の死亡原因の上位となっています。

 

はっきりした原因はまだ解明されていないです。

有力な説としては、睡眠時に何らかの理由で無呼吸になったときに回復が遅れることが原因と考えられています。

 

誤解されやすいですが、窒息などの事故とは違います。

もちろん、SIDSとは別に睡眠中の窒息の可能性もあるので、やわらかい布団を使わない、ぬいぐるみを近くにおかない等の注意も必要です。

 

 

●どんな時に起こりやすいの?

生後2か月から6か月の子どもで、男の子に多く、12月以降の冬期に起こりやすい傾向があるそうです。

 

乳幼児突然死症候群に明らかな原因はありませんが、生後早期の不安定さ、脳幹の機能異常、風邪などストレスなどが関係しています。

 

生後2〜6か月ごろは、まだ生まれた後のこの世界に適応しようと頑張っている時期です。

そのため、脳や心臓のはたらきが不安定です。

 

このようなときに、うつ伏せ寝や風邪などのストレスを受けるとSIDSを発症しやすくなります。

実際に、SIDSを発症した赤ちゃんの約半数は風邪などの感染症にかかっていたという報告もあります。

 

 

●SIDSを減らすためのポイント

何の予兆もなく、元々病気がなくても突然起こるので、完全に防ぐことは難しいのかもしれませんが、SIDSを少なくするためにできることはあります。

 

ポイントは3つです。

①1歳になるまでは、寝かせる時は仰向けに寝かせましょう。

②できるだけ母乳で育てましょう。

③タバコをやめましょう。

 

①1歳になるまでは、寝かせる時は仰向けに寝かせましょう。

SIDSは、うつぶせ、あおむけのどちらでも発症しますが、寝かせる時にうつぶせに寝かせたときの方がSIDSの発生率が高いということが調査からわかっています。

よく寝てくれるから、などの理由でうつぶせ寝にしていることもあるようですが、医学上の理由でうつぶせ寝を勧められている場合以外は、赤ちゃんの顔が見えるあおむけに寝かせましょう。

 

②できるだけ母乳で育てましょう。

母乳栄養児では、乳幼児突然死症候群の発生率が低いという調査研究が報告されています。

他にも母乳育児には様々なメリットがあるので、ママと赤ちゃんに無理のない範囲で母乳育児に取り組んでいただけると良いと思います。

 

③タバコをやめましょう。

妊娠中の喫煙も早産、低出生体重・胎児発育遅延など赤ちゃんに悪影響があります。

出産後も、ママだけでなく、一緒に住む家族など身近な大人がタバコを吸っていると、SIDSの発生率が高いそうです。

タバコは、赤ちゃんの気道や脳にも悪影響が及ぶ可能性があり、赤ちゃんと一緒に住む家族は禁煙をし、受動喫煙に気を付けましょう。

 

●保育園での取り組み

保育園でも午睡中の窒息やSIDSなどの事故防止のための取り組みをしています。

 

・SIDS予防のポスターの掲示

保育室や、病児・病後児保育室など子どもたちの睡眠を見守る場所にはポスターを掲示しています。

 

・SIDSチェック

午睡中は必ず保育者が見守りをし、以下の項目を確認してチェック表に記入しています。

・仰向けで寝ているか

・寝具のかけ方は大丈夫か?(汗をかいていないか)

・顔色は良いか(顔色が見える部屋の明るさか)

・嘔吐はしていないか

・呼吸はしているか(体に触れて確かめる)

・部屋の室温や湿度は適しているか

 

保育園でも安心・安全に保育ができるように配慮しています。

 

これはこども家庭庁のポスターです。

 

3つのポイントを意識して、ご自宅でも気を付けてみてくださいね。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

引用・参考文献

乳幼児突然死症候群(SIDS)について|こども家庭庁 (cfa.go.jp)

乳幼児突然死症候群について | メディカルノート (medicalnote.jp)