げんきっこコラム「子どもの誤嚥と窒息に気を付けましょう!」

こんにちは、げんきっこ看護師児玉です。

2月といえば節分。普段よりも「豆」を食べることが増える機会ではないかと思います。

行事で季節を感じられるのは大切なことですが、気を付けたいのが豆などの食品による窒息です。

今回は、「誤嚥(ごえん)と窒息に気を付けましょう」というお話をさせていただきます。

※誤嚥:食べ物などが気管や気管支に入ることです。

 

なぜ食べるときに誤嚥や窒息が起こるの?

こどもは発達の過程でいろいろなものを食べることができるようになっていきます。

しかし、かむ力や飲み込む力が大人に比べて弱いうちは、食べ物をのどに詰まらせやすいため注意が必要です。

どんな食べ物でも窒息や誤嚥のリスクはありますが、特に、丸くてつるっとしたものや粘着性が高いもの、固くて噛み切りにくいものなどは窒息につながりやすいとされているため、気を付けましょう。

特に、固くてかみ砕く必要のあるナッツや豆類などでは、のどや気管に詰まらせて窒息したり、小さなかけらが気管に入り込んで肺炎や気管支炎を起こす可能性があります。

その他にも、白玉団子やミニトマトなどのつるっとしたものでは、噛まずに飲み込んでしまい、窒息の可能性があります。

あまり知られていないかもしれませんが、りんごも注意が必要です。

 

普段は食べているから大丈夫と思っても、食べながら走る・寝転ぶ・驚くなどの刺激で、一気に息を吸い込んだ刺激でひゅうっと食べ物を飲み込んでしまい、詰まってしまう可能性があるので気を付けたいですね。

 

実際の事故事例

消費者庁では実際に次のような事故事例が報告されています。

  • 「炒り豆を口いっぱいに頬張っていたときに椅子から転落して顔をぶつけ、痛みで泣いた際に咳き込んだ。咳き込みが続いたため病院を受診したところ、CT検査で気管支に5mmの異物が確認された。手術にて異物(豆)を除去し、6日間の入院となった。」(1歳)

 

  • 「夕食中、こどもが口に食べ物を入れたまま保護者に話しかけていたところ、むせ込みだした。自分の手を口に入れてきゅうりなどの食べていたものを出したが、咳き込みが続くため救急要請。経過観察のため4日間の入院となった。」(3歳)

 

  • 「こどもが公園で遊びながらグミを5個ほどまとめて口に入れたところ、白目をむいた状態になった。保護者が3回から4回ほど強めに背中を叩くとグミが口の中から出てきた。救急搬送され診察後、帰宅となった。」(4歳)

 

誤嚥では入院や手術が必要になることもあり、最悪の場合には死亡事故になることもあります。

離乳食の時期もそうですが、3~4歳での事故報告もあるため、幼児食以降も気を付けていきましょう。

 

気を付けるポイント!

こどもの食品での窒息や誤嚥を防ぐため、以下の点に気を付けましょう。

 

1)豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせないでください。

喉頭や気管に詰まると窒息しやすく、大変危険です。

小さく砕いた場合でも、気管に入りこんでしまうと肺炎や気管支炎になるリスクがあります。

 

(2)ミニトマトやブドウ等の球状の食品を丸ごと食べさせると、窒息するリスクがあります。

乳幼児には、4等分する、調理して軟らかくするなどして、よくかんで食べさせましょう。

 

(3)食べているときは、姿勢を良くし、食べることに集中させましょう。
物を口に入れたままで、走ったり、笑ったり、泣いたり、声を出したりすると、誤って吸引し、窒息・誤嚥するリスクがあります。

 

(4)節分の豆まきは個包装されたものを使用するなど工夫して行い、子どもが拾って口に入れないように、後片付けを徹底しましょう。

 

もしもの時は…

もしも、のどが詰まって、声を出せない、苦しそうな呼吸が見られる、顔色が急に青くなるなど窒息が疑われる変化が現れた場合は、「背部叩打法」などの応急処置を速やかに行います。

 

背中を叩く「背部叩打法」は、乳児にも幼児にも行える方法です。

 

胸部突き上げ法は乳児に行える方法です。

背部叩打法と胸部突き上げ法を交互に行います。

 

 

幼児に行えるのが腹部突き上げ法です。

乳児には行えない方法ですが、幼児~大人には有効です。

 

反応(意識)がなくなったら、一次救命処置(心臓マッサージ)を行います。

もし異物が除去できた場合でも、応急処置によって内臓を痛めている可能性があるので、必ず病院を受診をしましょう。

 

事故は『そこにリスク(危ないこと)がある』と認識するだけでも防げるものがたくさんあります。

今回は食品の話が中心でしたが、おもちゃでも丸いもの、小さいものは気を付けましょう。

 

悲しい事故は起こらないのが一番ですので、事故を予防するためにどこに危険があるのか、知っていただけたら嬉しいです。

楽しく安全に食事を楽しんでいきましょう!

 

引用・参考文献:

食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!―気管支炎や肺炎を起こすおそれも、硬い豆やナッツ類等は5歳以下の子どもには食べさせないで― | 消費者庁

教育・保育施設における食品等の誤嚥による窒息事故の防止について