げんきっこコラム「嘔吐の対応について」
こんにちは、看護師児玉です!
今年は手足口病とマイコプラズマが流行しましたね。
これから冬になってくるとノロウイルスなどの胃腸炎が流行しやすい時期になってきます。
先月は、看護師が企画して、職員に嘔吐処理の勉強会を行い、感染防止をしながら安全に嘔吐処理する方法をみんなで学びました!
今回は、嘔吐したお子さんの対応や、嘔吐処理についてお話したいと思います。
ノロウイルスについて
ウイルス性胃腸炎の原因となるノロウイルスについて、覚えておいていただきたいことが3つあります。
1つめは、「嘔吐物そのものをしっかり拭き取ることが大事」ということです。
ノロウイルス感染者の便や嘔吐物には1gあたり、1,000万個から10億個ものノロウイルスが含まれることがあるそうです。
そしてそのウイルスが10~100個、体に入ると感染してしまうので、とても感染力が強いんです。
嘔吐物や下痢便そのものは、有機物が豊富なため希釈された消毒薬では効果は期待できないそうです。
消毒することももちろん大切なのですが、嘔吐物そのものをしっかり拭き取ったり洗ったりすることが大事だと覚えておきましょう。
2つめは「アルコールは効きにくいため、塩素系漂白剤を使うこと」です。
塩素系漂白剤というと、ご家庭ではハイター等が定番ですね。泡ハイターも便利です。
保育園ではピューラックスという消毒剤を使っています。
アルコールは効きにくいので、気を付けましょう。
ただ、塩素系漂白剤は手指などに使うと荒れやすく、しっかり消毒するためには、手指を洗った後に5分程度浸ける必要があるそうです。
それは現実的な方法ではないので、身体に付いた嘔吐物はしっかり流水と石鹸で手洗いを行いましょう。
3つめは「思った以上に広い範囲に飛んでいる」ということです。
1mの高さから嘔吐すると半径2mほど飛ぶそうです。
私たちも実際メジャーで測ってみて、こんなに広い範囲を消毒する必要があるんだと改めて確認しました。
嘔吐物そのものだけでなく、半径2mの範囲をしっかり消毒しましょう。
ちなみに、ノロウイルスは乾燥していると室温で20日以上感染性を保持できる(温度は低いほど安定)、凍結死滅しない…などなかなか手ごわい性質を持っているようです。
嘔吐処理方法について
まずは、嘔吐物は乾かないように、ペーパータオルや新聞紙などで覆っておくと安心です。
①嘔吐物付近に人が近づかないようにします。
処理をする人は使い捨て手袋とマスク、エプロンを着用します。
※ご家庭に使い捨てエプロンがない場合は、処理後に着替えましょう。
②嘔吐物をペーパータオル等(市販される凝固剤等を使用することも可能)で静かに拭き取ります。
③拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム等で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。
(手や膝、足底の汚染に注意しまよう)
④使用したぞうきんなどの布やペーパータオル等はすぐにビニール袋に入れ処分します。
⑤処理後は手袋をはずして手洗いをします。
その他、服などの消毒は下洗いした後、85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています。
ただし、熱水洗濯が難しい場合には、次亜塩素酸ナトリウムの消毒が有効です。
その際も十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果は高まります。
布団などすぐに洗濯できない場合は、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的です!
嘔吐した子どもの対応・観察のポイント
うがいのできる子どもの場合、うがいをさせましょう。 (うがいした場所も消毒します。)
うがいのできない子どもの場合、嘔吐を誘発させないよう口腔内に残っている 嘔吐物を丁寧に取り除きます。
その後は、繰り返し嘔吐がないか様子を見て、何をきっかけに吐いたのか(咳で吐いたか、吐き気があったか等)確認しましょう。
寝かせる場合には、嘔吐物が気管に入らないように体を横向きに寝かせましょう。
嘔吐後は、脱水症状に注意します。
すぐに水分を摂ると再度嘔吐する原因となる可能性があるので、嘔吐して30分~60分程度後に吐き気がなければ、様子を見ながら、経口補水液などの水分を少量ずつ摂らせます。
※ 頭を打った後に嘔吐したり、意識がぼんやりしたりしている時は、緊急性が高いです!
横向きに寝かせて救急車を要請し、その場から動かさないようにしましょう。
以上、嘔吐についてのお話でした。
胃腸炎は子どもの体調も心配ですが、看護する保護者の方にも感染しやすくなります。
かからないのが一番ですが、もしかかってしまった場合は、感染対策を行って、感染拡大しないように気を付けていきたいですね。
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