げんきっこコラム「保育園と母乳の話」
こんにちは、げんきっこ看護師児玉です。
私は以前助産師として産婦人科で働いていて、母乳育児についてもたくさん学んできました。
今回は母乳の話をさせていただきます。
授乳中の方で、保育園の入園が決まったりすると気になってくるのが、断乳?ミルク?授乳をどうするかという問題だと思います。
まず、断乳と卒乳の違いですが、
「断乳」は母親の病気や入院などやむを得ない理由で、突然授乳をやめることです。
「卒乳」は子ども自身のタイミングで自然と飲まなくなることです。
卒乳には毎晩授乳して寝ていたのに、今日は飲まないで寝ちゃったな…というような「自然卒乳」や、少しずつ授乳回数を減らしていく「計画的卒乳」などがあります。
今回一番お伝えしたいのは、「保育園=断乳」じゃないよ!
ということです。
お子さんの月齢によってもミルクや母乳、離乳食などの進み具合など状況はさまざまだと思うので、入園予定の保育園で相談していただけるのが一番ですが、保育園に行き始めるからと母乳をやめる必要はありません。
選択肢としては、
①育児時間などを使って直接授乳または搾乳を行う(1歳未満の場合)
②保育園では搾母乳を補足してもらう
③保育園の間は断乳し、家では自由に授乳する
という方法があると思います。
①1歳未満の子どもを育てる女性は1日2回30分の育児時間を請求することができます。それを利用して、もし職場が近いのなら直接授乳をする、またはその時間を搾乳の時間に使うことが可能です。
②の場合は、保育園でどこまで対応してもらえるか確認する必要がありますが、搾母乳は冷蔵で5日未満、冷凍で3~6ヶ月の保存が可能なので、家や職場で搾ってストックを作り、保育園で飲ませてもらうことは可能だと思います。
③の場合は、離乳食がしっかり摂れているのであれば、保育園の間はおやつと食事のみで過ごしてもらいます。朝や帰宅後、休日など家では自由に授乳するという方法もあります。仕事中おっぱいが張ってくるようであれば、少し圧抜き程度に搾る必要があるかもしれません。(仕事復帰前に手搾りのやり方を覚えておくと安心です。)
個人的な話にはなりますが、私は母乳で1歳2カ月の子を育てていて、11カ月から慣らし保育、1歳で保育園に入りました。
離乳食はそれなりに食べるようになっても、おっぱいが大好きな子で、日中は1~2時間毎、夜も3時間毎に授乳していました。
正直、こんなに授乳ばかりの生活で、授乳回数も減らせず、このまま日中保育園に行けるのだろうか?おっぱいと離れて大丈夫なのか?と不安でした。
それでも、子どもは環境の変化に慣れていくもので、最初は1日1回お昼に搾母乳を補足してもらっていましたが、だんだん搾母乳を飲まなくなり、1か月くらいで自然に保育園の間は授乳無しになりました。
帰りの車で授乳し、お風呂上りに授乳し、夜も朝も飲み…保育園に行く日は1日6回前後、休みの日は10回前後授乳しています。
おっぱいの張りも気にならないし、飲まれれば出るというとても便利な状態に落ち着いています。
子どもがもう飲まなくても大丈夫と思えるその日まで、授乳は減らさず「おっぱい飲み放題プラン」を提供していく予定です。
保育園に行き、親と離れる時間が増えるという環境の変化がある時期だからこそ、肌と肌でふれあい安心できる授乳の時間を大切にする、という考えもあります。
母親の状況も子どもの状況もそれぞれだと思いますし、こんなに授乳が多くて困っている人は私くらいかもしれませんが、そんなパターンもあるんだよということを知っていただきたいと思います。
ちなみに、日本では少し前まで1歳すぎるとまだ飲んでるの?なんて言われることも多かったですが、世界の卒乳の平均年齢は4.2歳だそうです。
もし授乳をやめなければいけない理由がないのであれば、お子さんが卒乳するその日まで胸を張って、楽しく濃密な授乳タイムを過ごしていただきたいと思います。
(参考文献:母乳育児ハンドブック 編集:日本小児医療保険協議会(四者協)栄養委員会)